メッセージ 

自然・生き物・家族・仲間・友達を愛しいと思う

 私が初めて「環境」や「自然」を意識したのは、1992年にブラジルで開催された地球サミット(環境と開発に関する国際会議)のときでした。下町で生まれ育った私にとって、自然はあまり身近な存在ではなく、このサミットを通じて気候変動や森林伐採といった地球環境の課題を初めて知りました。同時に環境教育の一環であるネイチャーゲーム(Sharing Nature with Children)に出会い、自然保護活動以上にこの美しい地球の自然や生命を次世代へ伝えることこそ、自分の使命ではないかと感じるようになりました。

 その後自身の子育てをきっかけに、誰もが日常の中で自然に親しむ一歩を踏み出せるようにと、乳幼児親子向けのプログラムを始めました。最初の活動は2004年に都立狭山公園で行ったものでした。「遊心」としては、2010年の設立以降、上野恩賜公園、日比谷公園、北の丸公園など主に都市部の公園で活動を展開しています。

遊心では「ヒトは自然の一部である」という考え方を大切にしています。自然は人間の思い通りにはなりません。だからこそ私たちは五感と感性を研ぎ澄まし、自然がもたらす多様な刺激に好奇心をかき立てられるのです。表情豊かな自然の世界は、私たちにとって学びの宝庫でもあります。

 また緑豊かな大自然はもちろん、都市に整備された公園や街なかの散歩道も、同じ「自然」であり私たちの暮らしと深く結びついています。どれほど小さな世界にも「生命」が宿っていることに気づいたとき、自然や生き物を面白く不思議に感じ、身の回りのすべてを慈しむ気持ちが生まれてくるのだと思います。そうした気持ちが土台となり、自ら考え行動できる子どもたちが、地球環境や平和に向き合う力を育んでいく――子どもたちが向かう50年後100年後、希望に満ちあふれたものである未来を願い、私は活動を続けています。

代表理事 峯岸由美子